記憶とであう

親知らずの治療のため、2泊3日の入院生活を経験しました。
人生初の全身麻酔、手術は様々なことを考え、思い起こさせてくれました。
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33年前、新婚旅行帰りの飛行機の中で「無くしてしまいそうだから渡しておく」と言って手渡され、以来、私の右手中指を預かり場所としてずっと共にあった夫の指輪。
もはや、つけていることさえ忘れているほど私の身体の一部になっていたけれど、この二つのブライダルリングを手術当日はじめて外した。
指輪のない私の手は、なんだか違う人の手みたい。
そうだ、来年、夫が定年退職を迎えたら、今度こそ持ち主の指に戻ってもらおう。
今、再び指輪を指に戻しながら、そんなことを考えた。

人生初の手術とはいうものの、実を言えば、なじみのある場所なのだ。
かつての私の職場だったこと、少し気恥ずかしいような懐かしいような、不思議な気持ちでその場へと向かう。
何十年経っていても、その雰囲気というのはそう変わるものではないんだね、患者としてその場にいることが妙におかしくて案外緊張しなかったのかも。

手術台に腰掛けると、そこは温められていて、ホッとした。
「術衣に着替えますよ」と言われた次の瞬間、私の身体を包んだリネンから懐かしいにおいがした。
オートクレーブで滅菌されたリネンのにおい。
優しく声を掛けながら、てきぱきと働く看護師さんをかつての自分と重ね合わせてみる。
温かくて香ばしいにおいと機械出しの準備をする独特の金属音、各種モニターが発する電子音が次々に記憶を呼び覚ます。
若くて一生懸命勉強していた頃の、今とは全く違う私。
この場所に来る人たちはみな、ここで働く人を信じている。
信じて何もかもを任せる。
全てを信じ深呼吸を繰り返すうち、無事手術は終わっていた。

もうじき誕生日を迎える私は、今年58歳になる。
今回入院することになり「今までの病歴は?」と度々問われた。
これまで本当に何事もなく、元気に過ごしてきたんだなあ。
それはある意味奇跡のように思われた。
世の中には様々な病気や障がいに苦しむ人がある。
生きたいと願っても生きられない人も・・・。
事故に遭ったり、災害に見舞われることもあるだろう。
丈夫な身体に生んでくれ、育ててくれた両親に改めて感謝した。

自分の身体のことだけ考えればよい時間、ありがとう。
経過も順調で想像していた痛みも今のところ襲ってきていない。
留守の間、はじめてのショートステイを体験した93歳も私の退院に会わせ帰宅。
今はまだ93歳の体験記を聞く余裕が私にはないが、そのうちゆっくり聞いてやらねばなあ。

歯に響かぬようにそろりそろりと動く。
ご飯は流動食。
美味しいものをもりもり食べられる日がやがて来るでしょう。
その日を楽しみに、今しばらく、療養に専念します。








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by coco-an | 2017-03-04 11:40 | 庵主ひとりごと | Trackback | Comments(2)
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Commented by サンデーKU at 2017-03-04 16:57 x
そういうことだったんですか、しばらく休みますということは。
まずはお見舞い申し上げます。

指輪のこと、「へぇ~そうなんだ」と不思議な感覚で詠みました。
お大事に。
Commented by coco-an at 2017-03-05 11:47
KUさん、ありがとうございます。

退院した日は案外元気だったけれど、なかなか体調はスッキリしません。

夫は仕事上、指輪を度々外さねばならないので面倒くさかったのだと思います。
私自身も、それを長年身につけていることさえ忘れていました。

健康が何よりですね。